米連邦最高裁は10日、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を親会社の中国企業から分離しなければ米国内での事業を禁止する法律の差し止めを巡る訴訟で、口頭弁論を開いた。ティックトック側の「憲法で保障された『表現の自由』を侵している」との主張を多くの判事が疑問視しており、法律を支持する可能性が強まった。
最高裁判事がティックトックと米政府の双方の意見を聞き取った。米メディアによると、多くの判事は「法律は中国企業との資本関係を問題視したもの」と見ており、表現の自由を保障する米憲法修正1条に違反するとの見方は少なかった。ティックトック側は事業売却後は「以前と同じように運営できない」と反論した。
法律はティックトックを運営する中国IT大手「字節跳動(バイトダンス)」に対し、ティックトックを米国の敵対国以外の企業に売却するよう求め、法律が発効する19日までに売却しなければ米国内でのアプリのダウンロードやアップデートができなくなる。中国政府による違法な情報収集に加え世論操作の懸念があるとして、連邦議会の超党派の賛成で2024年4月に成立した。
1審に続き、24年12月には連邦控訴裁判所(高裁)が法律を支持する判断を示し、ティックトックが最高裁に審理を求めていた。
トランプ次期米大統領は、法律の施行を大統領に就任する20日以降に延期するよう求める意見書を提出しているが、最高裁の判断に影響するかは不明だ。【ワシントン大久保渉】