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転落死した娘は実在? 断崖絶壁に伝わる民話「おせんころがし」


千葉県勝浦市と鴨川市をまたぐ海岸線にある「おせんころがし」は、美しい景観が広がる一方で、その呼称の由来にまつわる悲劇的な物語が存在します。民話では、領主の娘・お仙が村民によって崖から突き落とされたと伝えられていますが、実際には「お仙」という女性が実在し、異なった物語も伝わっています。お仙は預けられた家で育てられ、成長後に結婚しますが、夫を失い孤独の中で生涯を終える運命にありました。その具体的な最期については、崖から身を投げた説と、薬草採り中に足を滑らせた説があります。市の広報誌ではこの民話が紹介され、地元の歴史的背景として語り継がれているのです。

 千葉県勝浦、鴨川両市をまたいで4キロにわたって続く海岸線は、「おせんころがし」と呼ばれている。切り立つ岩壁と青い海の対比が見事な景勝地だが、「おせん」という若い女性が「ころ」がされて死んだ崖といういわれを知れば印象が変わるかもしれない。【岩崎信道】

 領主の娘、お仙は、年貢の取り分を増やそうとする父に思いとどまるよう懇願する。だが、欲に目がくらんだ父は受け入れない。怒った村人は領主を襲い、断崖から投げ落としてしまう。だがそれは、父の服を着て身代わりになったお仙だった――。

 勝浦市の広報誌に掲載された、おせんころがしにまつわる民話である。市の担当者によると「実話かどうか分からない」。お仙が崖から落ちる結末だけ同じで展開の異なる物語が他にも伝わっていることから、目もくらむ断崖絶壁から生まれた創作の可能性は十分にある。

 だが、おせんころがしから落ちて亡くなった「お仙」は実在した。

 「昭和24(1949)年まで我が家に墓があったそうです。今はその後に建てた五輪塔に戒名が刻まれています」

 そう話すのは勝浦市台宿に住む障害者支援施設の施設長、村上武さん(58)だ。

 村長(むらおさ)を務めた先祖もいる村上家は、江戸時代から続く旧家。お仙がいたころを知る親族はもういないが、村上さんの母、綱代さん(88)が「亡くなった祖母から聞いた話」をおぼえていた。

 それによると、お仙は村上家に生まれた娘ではなかった。「お寺参りをしているらしい男性が家に立ち寄り、自分が帰るまでこの子を預かってほしいと言ったまま戻らなかったそうです」。置き去りにされた幼子を、村上家は育てることにした。着ていた襦袢(じゅばん)の襟に書かれていた文字から、名前は「仙」と決まった。

 成長したお仙は下大沢(現在の勝浦市大沢とみられる)の漁師と恋に落ち、結婚した。だが、夫が海で命を落とし、婚家の両親も相次いで亡くなってしまう。「お仙の最期については、二通りの話があります。一つは、身寄りが亡くなって世をはかなみ、おせんころがしから身を投げた。もう一つは、薬草採りをしていて崖から足を滑らせた」

 お仙の戒名が刻まれた五輪塔は、村上さんの自宅近くに設けられた墓地にある。孝徳院妙仙日隆信女。嫁ぎ先の身寄りがなくなったため、お仙の遺体は村上家に引き取られたらしい。綱代さんの祖母まつさんは墓の前で「守護霊となって家を助けてくれる仏様だから、決しておろそかにしてはならない」と、綱代さんに厳命したという。

 村上家で育ったお仙が、おせんころがしのモデルだったという確証はない。だが、同一人物とみなす証言は少なくない。

 市の広報誌に載った民話への感想を、村上さんと綱代さんに尋ねてみた。2人は不思議そうな表情で顔を見合わせ、こう答えた。「そんな話、初めて聞きました」

「おせんころがし」(地名)

 勝浦、鴨川両市境をまたいで約4キロに及ぶ海岸線は、高さ数十メートルの断崖が続き、おせんころがしと呼ばれている。勝浦市大沢の崖の上には、地元住民と寺院が建てたお仙の供養塔がある。1951年には母子3人が小湊町(現鴨川市)のおせんころがしから突き落とされて死ぬ事件が起きている。

「おせんころがし」(民話)

 勝浦、鴨川両市をまたぐ海岸線の断崖から、少女が転落して命を落とす悲話。由来として伝わる民話はいくつかあるが、もっともポピュラーなものは、強欲な領主だった父の代わりに娘のお仙が領民に崖から投げ落とされたというストーリー。どの物語も、お仙が美しく心優しい娘だったという点は共通している。

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