12月2日から現行の保険証の新規発行は停止され、政府はマイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」への移行を進める。医療機関の窓口でのマイナ保険証の利用率は、全国平均で15・67%(10月)と振るわないが、都道府県別でみると、利用率は最大で16ポイント超の開きがあり、地域ごとの特徴もあった。
厚生労働省が病院や薬局の窓口でマイナ保険証が利用された割合を調べ、2024年1月分から公表している。10月分で最も高いのは富山の23・59%。次いで島根▽福井▽石川▽新潟――と続き、北陸地方など日本海側の利用率が高かった。
逆に最も低いのは沖縄の7・43%。和歌山▽愛媛▽宮城▽愛知――と続き、利用率の低い地域にはばらつきがある。
上位に北陸各県などが並んだ理由について、厚労省の担当者は「理由は分からない」としている。
一方、調査会社ネオマーケティングが11月15~18日、マイナカードを持つ20歳以上の男女1000人に行ったウェブの調査では、システムトラブルなどマイナ保険証の使い勝手の悪さも浮かび上がった。
調査によると、病院などの窓口でマイナ保険証を利用した経験がある人は全体の61%で、そのうち72%はトラブルを「経験したことがない」と回答した。
トラブルを経験したことがある373人に内容を聞いたところ、「医療機関がマイナ保険証に対応していない」が8・8%で最も多かった。ほかに「認証システムが動作せず、認証に失敗」(7・2%)▽「暗証番号を忘れた」(6・7%)▽「受付でシステムが混雑し、時間がかかった」(同)▽「通信エラーが発生し、確認ができなかった」(5・6%)――が多かった。
マイナカードを含めてセキュリティー面の不安をどの程度感じるかについては、「非常に不安」「ある程度不安」が63・7%を占めた。年代別でみると、20代の54・5%に対し、60代以上は71・0%となり、年齢が上がるほど不安を感じている実態が明らかになった。【古屋敷尚子】