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順天堂大、さいたま市への新病院建設を断念 資材高騰で資金不足


埼玉県さいたま市内で計画されていた順天堂大学医学部付属の新病院の建設が、資材高騰による資金不足を理由に断念された。2015年から進められていたこのプロジェクトは、医師不足解消を目的としており、800床の病院を設ける計画だったが、資金問題で頓挫した。県はプロジェクトに対し「整備費の2分の1以内の補助」を約束していたが、具体的な費用の総額は明らかにされていなかった。県議会でも、このプロジェクトに貴重な税金を投入する価値について疑問が呈されていた。

 埼玉県がさいたま市内に誘致を進める順天堂大医学部付属の新病院について、同大の代田浩之学長が29日、県庁を訪れ、病院建設を断念する意向を大野元裕知事に伝えた。資材高騰による資金不足が理由という。県内の医師不足解消を目的に公募が始まった巨大プロジェクトは、10年近くを経て白紙に戻ることになった。【鷲頭彰子、増田博樹】

 県は2015年1月、県北や秩父などの医師不足地域に医師を派遣することなどを条件に、さいたま市内で800床の病院整備計画を公募。同大が採用された。

 当初は20年度の完成を目指していたが、工期が延び25年4月着工、27年開院予定に変更された。さらに、着工時期が迫った今年7月末、同大はメールで整備費が2200億円近くに達し、完成が20カ月遅れると県に説明し、計画の見直しを申し出た。県は正式に計画変更を申請するよう求めたが、大学側から書類が提出されなかったため、申請期限を12月2日とすることを通告していた。

 誘致を巡っては、病床数800床、医師や看護師ら計1000人規模が働く巨大事業にもかかわらず、整備費総額を県も同大も明らかにしてこなかった。県は大学側と「整備費の2分の1以内の補助」を約束する「確認書」を取り交わしており、県費の支出が数百億円に上る懸念があった。県議会でも議員から「貴重な税金を投入する価値があるのか」などと厳しい意見が出ていた。

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