カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が、自社製品に中国・新疆ウイグル自治区の綿花を使っていないと発言し、中国国内で物議を呼んでいる。中国市場で積極出店を続けるユニクロだが、不買運動などにつながる可能性もある。
柳井氏は28日に報道された英BBCインタビューで、新疆ウイグル自治区の綿花について「使っていません」と発言した。そのうえで「どこの綿っていうことを言ったとしても……。まあこれ以上言うと政治的になるんでやめましょう」と述べた。
インタビューでの発言が中国国内で伝わると、SNS(ネット交流サービス)では「ユニクロはもう買わない。店にも入らない」「他のブランドに乗り換えよう」など反発の声が広がった。
中国外務省の毛寧・副報道局長は29日の定例記者会見で「新疆地区の綿花は世界で最高のものの一つだ。関係企業が政治圧力や妨害を排除して、独立して自らの利益にかなう経営判断を下すことを希望する」とコメントした。
新疆ウイグル自治区の綿花を巡っては、強制労働の疑いがあるとして米国が2021年に輸入の禁止を決めた。H&Mやナイキは新疆地区の綿花を使わないと宣言して中国内で大きな反発を浴びた。
柳井氏はこれまで新疆ウイグル自治区の綿花に関して「人権問題というより政治問題なのでノーコメント」と明言を避けてきた。【北京・松倉佑輔】