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86歳、1年かけ徒歩で琵琶湖を1周 出会いまとめた「歩記」出版へ


原田道雄さん(86)、京都大学山岳部OBで元会社社長が、1年間かけて琵琶湖を徒歩で一周した経験を語ります。これまで国内外の名峰を登った原田さんは、心臓病を患いつつも1回1万歩の散歩をつなぎ、琵琶湖1周200キロを達成しました。歩行は2023年1月4日からスタートし、寒暖差や距離の計画を事前に練るなどの工夫を凝らしました。「無理せず、ゆっくり歩く」ことを信条とし、自然や湖国の人々との出会いを楽しみながら進めました。著書『琵琶湖ひとり歩記』としてその経験を2025年に出版予定です。

 京都大山岳部OBで元会社社長、大津市の原田道雄さん(86)がてくてく歩いて琵琶湖を1周した。かかった期間は約1年。国内外の数々の山を登ってきた原田さんだが、古里の琵琶湖を1周したのは初めて。「自転車で1周するビワイチの人には多く会ったが、歩いて1周という人はいなかった。年寄りの私でも歩けると証明できたので、他の人の参考になれば」と、四季折々の様子や道中での出会い、地域にまつわる思い出などをまとめた“琵琶湖ひとり歩記”を2025年4月に出版する。

 原田さんは同市平津2で生まれ育った。山岳部入部後、国内だけでなくキリマンジャロ(タンザニア)やウィルヘルム(パプアニューギニア)、玉山(台湾)など海外の高峰も踏破してきたが、数年前に心臓を病み、今は自宅周辺を散歩する程度になっていた。しかし、23年の正月、「三が日を家でぐうたらと過ごしていたが、ふと、1回1万歩の散歩もつなげば、琵琶湖1周200キロになるのではないか」と思いついたという。

 決行に移すのは早かった。1月4日、第一歩をしるした。自宅から時計回りに1周。可能な限り湖岸を歩き、4、5時間歩いたら最寄り駅から鉄道やバス、タクシーで自宅へ帰り、次回は前回の続きから再スタート。寒さは冬山で鍛えられたが、猛暑の6~9月は休みと決め、「無理せずゆっくり歩き、違和感を覚えたら断念する」と始めた。お昼時を挟んで歩くので、飲食店を事前に調べ、昼食を楽しみに歩いたという。

 初日は同市本丸町の膳所城跡公園まで約5・5キロを3時間、1万3725歩で歩いた。その後も「朝起きて、お天気次第で」。登山靴こそすり減って買い替えたが、事故もなく同年12月28日、スタートから31日目に1周を達成した。1日平均1万6763歩、計51万9669歩だった。

 「達成感というより、ようやく終わったかなという感じ」という。湖西から湖北への道のりは桜のシーズンだったため、「一生に見る満開の桜を2回分見た」と笑う。「湖北には多くの自然が残り、水辺を歩くと、何キロも離れた船上の人の会話が聞こえるほど静かだったのには驚いた」という。満席で食事を諦めたら、店の人が追いかけてきて弁当を渡してくれたこともあるなど「湖国の人情に触れる機会になった」と振り返っている。【北出昭】

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