インド北部で大気汚染が深刻化している。首都ニューデリーから約220キロ離れた北部ウッタルプラデシュ州にある世界遺産タージマハルは14日、濃いスモッグで全体が覆われて見えなくなった。地元メディアは、巨大建造物が「消えた」様子を驚きをもって伝えた。
首都や近郊では毎年、秋から冬にかけて、野焼きや車の排ガスなどの影響で大気汚染が悪化する。世界の大気状況をモニタリングする「IQエア」(スイス)によると、現地時間15日午前時点で、デリーは隣国パキスタンのラホールに次いで世界で2番目に汚染された主要都市だった。汚染度合いは6段階で最悪の「危険」に分類され、「微小粒子状物質(PM2・5)」の濃度は世界保健機関(WHO)が定める基準の74・8倍に上った。
デリー首都圏政府は14日、大気汚染対策として、すべての小学校の授業をオンラインに切り替えると発表した。
大気汚染は、大量の爆竹や花火を使って祝うヒンズー教最大の祝祭「ディワリ」があった10月31日以降、特に深刻化した。当局は爆竹の販売や使用などを禁じたものの、多くの人々が例年通り爆竹を鳴らして祝った。【ニューデリー川上珠実】