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「36年間塩漬け」の市有地、5億円以上で売却へ 奈良・橿原


奈良県橿原市は、長年民間に未利用だった2980平方メートルの市有地を、公募型プロポーザル方式で民間に売却することを決定しました。この土地は、近鉄畝傍御陵前駅から徒歩2分という絶好の立地にあり、売却価格は5億4400万円が最低設定されています。売却条件として、敷地内に保育所などの認定こども園を併設することが求められています。市はこの売却を通じて、待機児童対策や移住者増加につながる施策として期待しています。プレゼンテーションを含む応募のプロセスは、2025年2月に優先交渉者が決定される予定です。この施策は、老朽化した近隣の土地開発とも比較され、民間の力を活用した効率的な市勢発展を狙っています。

 奈良県橿原市は近鉄畝傍御陵前駅東側の市有地2980平方メートルについて、保育所併設を条件とした公募型プロポーザルで民間に売却する。同駅東出口から徒歩2分という好立地ながら36年間塩漬け状態だった。最低売却価格は5億4400万円で、市は若い夫婦向けマンションなどの建設提案を期待している。参加申し込みは25~29日。

 商業用途地域で高さ制限25メートル。マンションなら8階建てまで建設可能だ。条件は敷地内に床面積100平方メートル以上の認定こども園や保育所などを併設すること。市はマンションの他、医療、福祉、スポーツ施設など、保育所併設との相乗効果を落札者も見込める計画の提案を期待している。市にとっても、多額の売却益が得られるだけでなく、待機児童対策や移住者増、市民の働き口確保なども期待できる一石二鳥の施策としている。

 希望業者は申し込みに続いて12月19~25日に応募書類を提出。2025年1月下旬に整備計画のプレゼンテーションを行い、市が同2月上旬に優先交渉者を決定する。

 売却する市有地は農業用ため池埋め立て地で市が1988年、公共施設建設を念頭に市土地開発公社を通じて約2億円で先行取得。県社会福祉総合センターなどが隣接することから同様の公共施設の建設や誘致を模索したが、市に需要がなく、国や県も買い取りを希望しなかったため、更地のまま塩漬け状態だった。

 一方で市が2023年、民間に売却した近鉄橿原神宮前駅徒歩3分の福祉施設跡地(1625平方メートル、久米町)は最低入札価格(約3億9000万円)の1・6倍となる6億3000万円で落札。11階建て計80戸のマンションとして建設が進み、26年3月に完成予定だ。今回の市有地も土地開発公社からの買い戻しに利子などを含めて3億円強を要したが、専門家の評価で5億円超の値が付くのは確実だと分かり、売却に踏み切った。

 畝傍御陵前駅は1923(大正12)年開業。1日乗降客3504人(2023年調べ)で大阪方面へ1時間以内で通勤できる。市資産経営課の担当者は「公共性のある施設か民間売却か、市内部で議論し、折衷案で保育所併設条件付きプロポーザル売却とした。いわば市勢発展に民間の力を借りる施策で、多数の応募を期待している」と話している。問い合わせは同課(0744・47・4111)へ。【皆木成実】

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