フィリピンのマルコス大統領は8日、南シナ海での自国の権利が及ぶ範囲を明確化する海域法などに署名した。中国との対立が続く中、国際法と国内法の関係を整理してアピールするといった狙いがある。該当域内で権利侵害があった場合、刑法の適用または最大100万ドル(約1億5320万円)の罰金が科されるとしている。
マルコス氏は署名式で、自国の権限を明確に規定することで海洋資源を守るとし、「法の制定によって、経済発展と安全保障のための海洋政策が強化される」と述べた。
新たな海域法では、領海や排他的経済水域(EEZ)を定めた国連海洋法条約などを基に、南シナ海でのフィリピンの海域と権限を改めて規定した。中国は南シナ海のほぼ全域に自らの主権や権益が及ぶと主張しているが、これを否定した2016年のオランダ・ハーグ仲裁裁判所の判決も根拠とした。
外国に対して、国際法に基づく権利と義務に配慮するとしつつ、比海域内で権利侵害があった場合には刑法を適用するとした。60万ドル以上100万ドル以下の罰金を科す場合もあるとしている。官報に掲載後、15日後に施行される。【バンコク石山絵歩】