国際情勢を左右する米大統領選(5日投開票)は、ロシアの侵攻を受けるウクライナの前線地域でも人々の強い関心を集めた。米国による兵器供与などの支援が継続されるかが、戦争の行方に大きな影響を与えるためだ。勝利を決めたドナルド・トランプ前大統領の今後の判断が注目されている。
6日午後、激戦が続く東部ドネツク州ピスクニウカの前線。長雨で一帯がぬかるむ中、ウクライナ軍部隊の地下司令室では軍人らが開票の様子に一喜一憂していた。戦時下のウクライナに長期滞在する写真家の尾崎孝史さんが取材した。
司令官が開票速報をモニターに表示し、トランプ氏優勢の状況が明らかになると、兵士たちからは「(トランプ氏を支援する)企業家のイーロン・マスクにしてやられた」などと残念がる声が上がったという。トランプ氏はウクライナ支援に懐疑的な姿勢で知られるからだ。
一方、その場にいたボランティアの若者は「僕はトランプがいい。前回、彼が大統領になったとき東部ドンバス地方の紛争が落ち着いたから」と話した。尾崎さんの取材では、戦争が長期化する中で、ウクライナの男性には徴兵を拒否し、戦闘の早期終結を望む人も多くなっているという。【真野森作】