共和党のトランプ前米大統領が勝利を確実にした大統領選から一夜明けた6日、米紙ニューヨーク・タイムズは電子版で「米国は危険な選択をした」と題した社説を掲載した。米国民はトランプ氏が与える脅威を見据えて、国家や法律、制度、価値を守る用意をすべきだと説いた。
リベラル系のニューヨーク・タイムズは大統領選でハリス副大統領を支持していた。
同紙はトランプ氏の復権に危機感を示しながらも「非常に多くの国民が(トランプ氏に)欠陥があると認識しながら1票を投じたことは無視できない」と強調。物価高や移民の流入、国境管理などの課題の解決に向けた期待感や現状の政治、制度への深い失望感から、トランプ氏が票を集めたと分析した。
ハリス氏を大統領候補にした民主党に対しては、敗北した理由を厳しく見直すべきだと指摘した。民主党政権に懐疑的な有権者が、破壊的な人物であるトランプ氏に流れたとの見方も示した。
また、トランプ氏は法律のほか、民主主義の価値や規範、伝統を尊重していないと主張。大統領を目指す動機は「権力の追求と自身が築き上げた個人崇拝を守ることのみ」だと論じた。
その上で、トランプ氏を支持した人々は大統領就任後の行動を見て、自分たちの希望や期待に沿うものであるか見極めるべきだと注文を付けた。そうでない場合は米国を正しい軌道に戻すため、2年後の中間選挙と4年後の大統領選では、第2次トランプ政権に失望を表明する1票を投じるべきだとした。【ニューヨーク中村聡也】