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時速194キロで衝突、死亡事故 「危険運転に」初公判に臨んだ遺族


大分地裁で、時速194キロでの衝突事故が「危険運転」に当たるかどうかを問う裁判が始まった。大分地検は当初、過失運転致死で起訴していたが、犠牲者の遺族らによる署名活動により危険運転致死に切り替えた。裁判で被告は謝罪の意を示したが、遺族は謝罪が実感として伝わっていないと感じた。検察側は小柳憲さんが負った重傷に嘆く母親の証言などを提出。長文恵さんは、速度超過の重大さが認識され、全国の同様の事件に影響を与える判決を期待している。また、危険運転致死罪の適用の難しさに対する法改正の議論も進行中で、適用基準の緩和が求められている。

 時速194キロでの衝突死亡事故が「危険運転」なのかを問う裁判員裁判が大分地裁(辛島靖崇裁判長)で5日始まった。大分地検は当初、自動車運転処罰法違反(過失運転致死)で在宅起訴したが、事故で死亡した小柳憲さん(当時50歳)の遺族らの署名活動を受け、危険運転致死に変更するという経緯をたどった。事故発生から約3年9カ月を経て初公判に臨んだ小柳さんの姉、長文恵さん(58)は記者会見し、「すごく長い時間だった。弟の無念を少しでも晴らしてあげたい」と語った。【井土映美、神山恵、山口泰輝】

 起訴状などによると、男性は2021年2月9日午後11時ごろ、法定速度の上限が時速60キロの県道交差点で、制御困難な同194キロで車を直進させ、対向車線から右折してきた車に衝突。運転していた会社員の小柳さんを出血性ショックで死亡させたとしている。

 公判冒頭で、男性は「(死亡した)小柳憲さんとご遺族に心より謝罪申し上げます」と述べたが、長さんは公判後の記者会見で「こちらを見ることはなかった。誰への謝罪かなというのが率直な意見」と釈然としない気持ちを振り返り、「この運転さえなければ、私は裁判に来ることも、日常が壊されることもなかった」と訴えた。

 公判で検察側は、小柳さんの下半身が粉砕骨折したことが分かる診断書や、当時着用していた衣服の写真を証拠として提出。長さんは法廷内のモニターに映し出された証拠を涙ながらに見つめていたが、その時の心境を聞かれると「痛かっただろうと思う。痛いとか何にも言えずに私たち家族の元からいなくなっちゃった」とうつむいた。

 それでも署名活動が訴因変更につながり、初公判を迎えられたことを「声を上げて良かった。仲間が集まって発信すれば、やれることはある」と語り、「法定速度3倍以上の速度がちゃんと危険運転にならないといけない。全国の同じような事例につながる判決を望んでいる」と話した。

 会見には、危険運転致死傷罪が創設されるきっかけとなった東名高速道路の飲酒運転追突事故(1999年)の遺族、井上郁美さん(56)らも出席した。

 同罪を巡っては、適用のハードルが高いと問題視する声が高まり、法務省は現在、法改正も視野に見直しの議論を進めている。井上さんは「長さんたちは法改正されても適用されない。今の法律で十分戦えると大分から証明してもらいたい」と話した。

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