ウメ、モモ、サクラなどの果樹や樹木を食い荒らす特定外来生物のクビアカツヤカミキリが今年、群馬県北部・西部の8市町村に新たに生息域を広げたことが判明した。急拡大の要因として、車などにくっついて移動した可能性が疑われており、県は「見つけたら踏みつぶし、県に情報提供してほしい」と呼びかける。【田所柳子】
クビアカツヤカミキリは中国やモンゴルが原産。日本に輸入された資材などに付着して混入したとみられ、12年に愛知県で確認。埼玉、東京などに広がり、太田、館林など県東部を中心に拡大してきた。
県は今年4~8月に被害を調査。新たに被害が確認されたのは、みなかみ、沼田、渋川、東吾妻、榛東、吉岡、富岡、甘楽の8市町村だった。県内の生息域は計24市町村となった。
県全体で確認された被害木は初めて1万本を超え、前年比2851本増の1万508本。現在の調査方法にした2017年から毎年増加を続けており、17年の682本の15倍以上となった。
とりわけ被害が大きいのは太田2847本、館林1399本、伊勢崎1348本、桐生1308本など。新たに被害があった8市町村の中では沼田市の20本が最多で、うち12本がモモだった。
県自然環境課の担当者は「被害木のない下仁田の駐車場でも成虫の死体が見つかった」と指摘。みなかみや上野といった県東部から遠く離れた町村に自力で移動したとは考えにくく「車両で移動した可能性がある」と推察する。
近年の気温の上昇により、活動の時期も長期化。従来の6~8月から4~10月ごろに伸び、木に寄生した幼虫が出すフンと木くずの混ざった「フラス」が見つかるようになった。
県は「行政による生息域の確認には限界がある」として情報提供を求める。被害を見つけた場合は特設のホームページ「ぐんまクビアカネット」に写真で投稿するよう呼びかけ。集めたデータを分析し、駆除に役立てる。