国連安全保障理事会は30日、ウクライナ侵攻を続けるロシアに北朝鮮が派兵したことを受けて緊急会合を開いた。理事国から批判が集中するなか、北朝鮮の金星(キムソン)国連大使は派兵について直接の言及は避けつつ、「米国と西側の危険な試みによって、ロシアの主権および安全保障上の利益が脅かされたとみなした場合、必要な措置を取る」と述べた。
ロシアのネベンジャ国連大使は、北朝鮮との軍事交流は「第三国に対するものではない」と正当化。北朝鮮兵の戦闘地域への派遣に関する情報は「明白なうそ」だと否定した。
一方、多くの理事国は、北朝鮮のロシア派兵は安保理決議違反にあたるとして批判が相次いだ。
韓国の黄浚局(ファンジュングク)国連大使は、前線への北朝鮮兵の展開は「予想よりも早く起こり得る」と指摘。「北朝鮮は朝鮮戦争以降で初めて、現代戦の経験を得ることになる」と述べ、「ユーラシア大陸における地政学的な力学を変化させる」と危惧した。
米国のウッド国連次席大使は「ロシアの支援のためウクライナに入れば、北朝鮮兵は遺体袋で帰国する」と述べ、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記に「無謀で危険な行為の再考」を促した。
日本の山崎和之国連大使は「北朝鮮が、ロシアによるいわれのない侵略の共犯者となることは、ウクライナ情勢を悪化させる。見過ごしてはならない」と訴えた。【ニューヨーク八田浩輔】