林芳正官房長官は30日の記者会見で、国連の女性差別撤廃委員会が男系男子に皇位継承を限る皇室典範の改正を勧告したことに対し、政府として強く抗議し、削除を申し入れたことを明らかにした。「我が国の立場を説明して記述削除を要請したにもかかわらず、皇室典範に関する記述が盛り込まれたことは大変遺憾だ」と述べた。
林氏は皇位継承について「国家の基本に関わる事項であり、皇位に就く資格は基本的人権に含まれていない」と説明。「女性に対する差別の撤廃を目的とする女性差別撤廃条約の趣旨に照らし、同委員会が我が国の皇室典範について取り上げることは適当ではない」とする日本政府の立場を事前に同委員会に伝えていたことを強調した。
皇室典範を巡っては、同委員会による前回の2016年審査時、改正勧告を盛り込む最終見解案に日本側が強く抗議し、記述が削除された経緯がある。【鈴木悟】