11月の米大統領選の共和党候補、トランプ前大統領は15日、中西部イリノイ州で開かれたイベントで、2022年に銃撃されて死亡した安倍晋三元首相について「(首相職への)カムバックを目指していた。(事件がなければ)容易に返り咲いていただろう」と言及した。
トランプ氏は関税引き上げ策について説明する際、「同盟国は、敵対国よりも、米国をうまく使用してきた」と発言し、一例として日本を挙げた。その上で「(安倍氏の)存命中は明かしたことのない会話」として、大統領在任中に当時首相だった安倍氏との交渉の一幕も紹介した。
トランプ氏によると、「シンゾー、話さないといけないことがある。貿易についてだ」と話しかけると、安倍氏は「分かっている」と返答。「どう分かっているのだ」と問うと、安倍氏は「米国が我々と(貿易に関する)交渉をしてこなかった期間の長さは信じられないほどだ」と答えたという。
トランプ氏はこの際に、「日本は米国車を受け入れないのに、我々は何百万台もの日本車を買っている」などと主張し、日本市場の開放を求めたという。【ワシントン秋山信一】