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中国、大規模な軍事演習「常態化」で圧力 台湾社会の揺さぶり狙う


 「『台湾独立』勢力の行動に対する強力な懲罰だ」。中国軍は14日、5月に続いて台湾を包囲するような大規模な軍事演習を実施した。台湾の頼清徳総統率いる民進党政権に対して武力による威圧を「常態化」し、台湾が中国に属するという「一つの中国」の受け入れを迫る意志を示した。

 今回の演習は、頼氏の「独立」論への対抗措置との位置づけだ。頼氏は10日の「双十節」(建国記念日に相当)の式典での演説で「中国は台湾を代表する権利はない」と主張し、中国政府は「『台湾独立派』の立場を再び露呈させた」と反発していた。

 中国軍東部戦区が演習開始を公表したのは14日午前5時(日本時間午前6時)。夜明け前から軍用機や軍艦が出動する動画が公開された。西太平洋上に展開する空母「遼寧」から艦載機が飛び立つ映像もあり、米国や日本の介入をけん制する意図があるとみられる。

 軍所属の専門家は中国メディアの取材に「演習は実戦的な空気が色濃い。夜間・未明でも迅速に展開し、我々がいつでも訓練から実戦に転じられるということを示した」と解説した。

 中国軍が公表した地図では、台湾を囲むように6カ所の演習区域が設定され、それぞれが台北や高雄など主要な港湾がある6市に対応する位置づけになっていた。中国軍は訓練内容に「重要な港湾や地域の封鎖・制圧」を挙げており、台湾有事において物資や人員の輸送を遮断する能力を示し、台湾社会の動揺を誘う意図があるとみられる。

 また、海上保安機関の中国海警局も演習に参加。四つの船隊を編成して台湾本島を周回する形でパトロールし、76ミリ砲を備える1万トン級の大型船も出動した。

 中国軍は2022年8月のぺロシ米下院議長(当時)の訪台以降、台湾を包囲するような大規模演習を重ねており、今年は頼氏の総統就任直後の5月にも台湾を囲む海・空域で2日間の演習を実施した。中国国営中央テレビは、大規模演習を常態化させ、台湾包囲網を強固にしながら、それをより狭めて「主権を守る決意、能力、手段を示す」との狙いを伝えた。

 国内主要メディアは演習に合わせ、頼政権を批判する論評を掲載した。中国共産党機関紙「人民日報」は、頼氏の双十節演説を、中台を別の国と見なす「新たな二国論」と非難し、頼氏こそが「台湾海峡の平和と安定を破壊している」と主張した。さらに「米国の一部高官が(頼氏の主張を)見て見ぬふりをしているのは、米国が『台湾カード』によって中国を抑え込もうというよこしまなたくらみがあることの証明」だと批判した。

 米国務省の報道官は今回の演習に「深刻な懸念」を表明して中国側に自制を求めたが、中国外務省の報道官は記者会見で「台湾問題は中国の内政であり、いかなる外部の干渉も認められない」と反論した。【北京・河津啓介】

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