日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞受賞が決まったことに、与野党から歓迎の声が上がった。
自民党の岸田文雄前首相は11日、X(ツイッター)に「『核兵器のない世界』の実現に向けて努力を積み重ねていくことは唯一の戦争被爆国である我が国の使命です」と投稿した。さらに「被爆者の思いや被爆の実相の継承、核兵器のない世界と恒久平和実現に向けた長年のご努力に対する評価であり、心からお慶(よろこ)び申し上げます」と祝意を示した。衆院広島1区選出で核軍縮をライフワークとし、首相在任中の2023年には被爆地・広島で初めて主要7カ国(G7)首脳会議を開催した経緯がある。
立憲民主党の野田佳彦代表は「心からの敬意と感謝を表する。今の世界的な軍拡・核兵器拡散の流れを変えることにつながることを望む」と表明。日本政府は、核兵器禁止条約にオブザーバー参加すべきだとの認識を示した。
共産党の田村智子委員長も「核脅威が強まるもとでの受賞は、大きな意味がある。核兵器全面禁止を求める国際的な大きなうねりを生み出してきた」とコメントを発表した。その上で「今こそ、核兵器禁止条約を日本政府も批准し、核兵器廃絶を世界に働きかけるべきだ」と求めた。
日本政府は「非核三原則」を掲げる。一方で、米国の「核の傘」に依存しており、核兵器禁止条約の批准に慎重な姿勢を崩していない。核保有国と非保有国の「橋渡し役」を自任し、国際社会に発信してきた日本政府として、「核なき世界」に向けてどのように取り組むかが問われる。【田辺佑介、鈴木悟】