衆院選(15日公示、27日投開票)への出馬を表明ししている名古屋市の河村たかし市長(75)は、最後の登庁日となった11日、辞職願を市議会から「不同意」とされるなど、複雑な心境で15年半を過ごした市役所を去ることになった。
市議会はこの日、本会議を開き、河村氏が提出された14日付の辞職願の取り扱いを審議。討論では自民、民主、公明の各主要会派から「任期を半年残して辞職するのは無責任」「名古屋城の木造復元事業など課題は山積みの中、『(市長を)やりきった』と言うのはおかしい」など批判が相次いだ。
辞職願の同意には議会の過半数の賛成が必要だが、採決の結果、定数68のうち約7割を占める自民、民主、公明の3会派(計49人)が反対し、否決となった。議場で採決を見守った河村氏は険しい表情を崩さなかった。
否決により、河村氏は辞職扱いとならず、衆院選公示日の15日に自動失職となる。円満な形での辞職を望んだ河村氏だったが、これまで対立を続けて議会との溝は最後まで埋まらなかった。
採決の後の幹部会で職員から花束を受け取った河村氏は「15年間、精いっぱいやってきた。後悔はにゃーですよ」と語った。
一方、市議会の田中里佳議長は11日、河村氏の辞職願を市選挙管理委員会に通知。公職選挙法では、通知の翌日から50日以内に市長選が行われる。
河村氏は衆院選愛知1区から、自身が共同代表を務める日本保守党の公認で出馬を予定。愛知1区には他に自民党現職の熊田裕通氏(60)、立憲民主党現職の吉田統彦氏(49)=比例東海、日本維新の会新人の山本耕一氏(47)が立候補の準備を進めている。【真貝恒平】