4日午後10時半ごろ、山口県周南市夜市(やじ)の路上で、近所の40代男性が突然クマに襲われた。男性は自力で逃げたが、頭や左脚に重傷。命に別条はないという。
周南署によると、男性はランニング中、背後から襲われた。クマは1頭で、体長約1メートル。男性は自力で自宅に逃げ帰り、家族が119番。男性は病院に搬送されて入院し、左側頭部、後頭部に挫創、左太もも2カ所にかみ傷が確認された。クマの逃走方向は不明という。
現場は、才原自治会館の南約100メートルで、民家が点在する山中の集落。周南署はパトカーで付近を警戒するなどし住民にクマへの注意を呼びかけている。
県内では9月8日にも岩国市本郷町波野の山間部で70代男性がクマに襲われ、手首骨折などの重傷を負った。【山本泰久】
県が出没警報発令
周南市夜市で4日夜に起きたクマによる人身被害を受け、県は5日、夜市地区や市中心部を含む市内のエリアに「クマ出没警報」を発令した。発令期間は18日まで。また、5日は市内の県周南総合庁舎で緊急対策会議も開き、関係者が今後の注意喚起やパトロール、クマの捕獲などの進め方などについて確認した。
会議には県や周南市のほか、周南署や地元の猟友会から9人が出席。市の担当者から、5日に開始した現場近くの住民宅へのチラシの配布や、パトロールを兼ねた広報車の巡回などの注意喚起の取り組みが報告された。
県によると、県内でクマによる人身被害が年間に2件発生するのは異例という。クマの目撃情報は、2024年度は4日現在で460件に達しており、23年度(444件)を既に上回っている。
県の担当者は「(冬眠を控えた)10、11月は特にクマの出没が多い。クマを寄せ付けないよう、果実を早めに収穫するほか、生ゴミを畑に安易に捨てないでほしい」と注意を呼びかけている。【脇山隆俊】