民主党のハリス副大統領と、共和党のトランプ氏が接戦を繰り広げる米大統領選は、11月5日の投票日まであと1カ月。「トランプ氏はまともじゃない。ハリス氏には弱さがある。本当にどうしたらいいんだ」。米東部ペンシルベニア州ピッツバーグの大学教員、ジェームズ・カーマインさん(70)は迷いを口にした。
1年前まではトランプ氏に投票することは考えもしなかった。母親がユダヤ人であるカーマインさんは、トランプ氏の排他的な言動が「ファシズムや反ユダヤ主義を助長している」との危機感を強めていた。
しかし、昨年10月にパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスがイスラエルに越境攻撃し、約1200人のユダヤ人らを殺害した後、迷いが生じた。「バイデン政権の(外交政策での)弱さが、ハマスの越境攻撃につながった」と考えた。より左派色の強いハリス氏に候補が差し替えられ、心配は増した。
ペンシルベニア州は全米でもユダヤ系人口が多い州の一つで、米メディアによると、登録有権者約900万人のうち約30万人を占める。バイデン政権の中東情勢への対応が、選挙結果にも影響を与えるとみられている。【ピッツバーグで秋山信一】