石破茂新首相(67)に期待を寄せているのは男性よりも女性、そして高齢層ほど支持率が高い――。
そんな世論調査の結果を受け、理由が知りたくなった。「おばあちゃんの原宿」こと、巣鴨地蔵通り商店街(東京都豊島区)でインタビューすれば、わかるかもしれない。
首相指名選挙のあった1日、道行く人に声をかけると、集まったのは予想に反する声だった。【中嶋真希】
周りに流された?
毎日新聞が9月28、29日に実施した全国世論調査では、石破首相に「期待する」と答えた人は52%。「期待しない」の30%を大きく上回った。
男女別では、男性の48%、女性の57%が「期待する」とした。年代別では、70歳以上の62%、60代の52%、50代の48%が「期待する」と回答した。
高齢層の女性は実際、「石破新首相」をどう感じているのだろう。
遊びに来た都内の70代女性に、石破氏に期待できるかどうかを問うと、「うーん」と首をかしげる。「選ばれた以上は、長くがんばってほしいですね。女性に人気があるのは、柔らかい印象だからかな」。そして「日本経済を良くしてほしいです。物価がどんどん上がっていって、節約しないと大変」とため息をつく。
一緒にいた50代女性は、「石破さんは、物腰が柔らかく、ふわっとした雰囲気。私は嫌いじゃないですよ」と話す。「ただ、国の大黒柱としては、どうなのか。もっと笑顔で、しっかり国民にアピールしてほしい」
商店街を歩いていた近所に住む88歳女性は、「石破さんに期待するか? うーん、どうだろうね。まあ、これまで何回も挑戦して首相になれなかったのだから、一度やらせてみたらいいと思う」と話す。
女性からの支持が高いことを伝えると、「穏やかに見えるからじゃない? 群れないイメージがあるし、自分なりの意志があったんじゃないか。ただ、首相になったら、今までみたいな一匹オオカミとはいかないでしょう。(解散総選挙に慎重だったのに、一転して)早期解散になったのも、周りに流されたんじゃないの」と厳しい。「流されずにがんばってほしい」と注文をつけた。
「安定を求めて支持」
9月27日に投開票された自民党総裁選で、石破氏は決選投票の末に高市早苗前経済安全保障担当相(63)に逆転勝利。決選投票の都道府県連票は石破氏26票、高市氏21票だった。首都圏での支持はイマイチだが、地方での人気は高い。
この日唯一、「石破さん、良いと思います」と答えたのも、岩手県から観光で来ていた70代女性だった。「議員としての経験も豊富。総裁選では、東北の支持が高かったですよね」
女性は自民党を支持しており、「夫からは『自民党じゃだめだよ』と言われて、よく議論になるんです」と笑う。「物価が上がっても、質素に暮らしていけばなんとかなる。今の生活を維持していければ不満はないから、安定を求めて自民党を支持してしまうんですよね。急激な変化は、怖いです」と話す。「外国ともうまくやって、裏金問題などしっかり改革してほしい」と期待していた。
「ずいぶん損しました」
近くに住み、店を営む85歳の女性は、「商売をしているから自民党支持だけど、なんだかねえ。若く、新しい人に世代交代してほしかった。しょうがないですね。(党総裁を)国民は選べないんだから」と話す。
“若い人”といえば、総裁選で争い、選対委員長に起用された小泉進次郎元環境相(43)、小林鷹之元経済安全保障担当相(49)だが、「小泉さんは印象がとても良いけど、話すのを聞いていると不安になる。自民党は人材不足ですね」と浮かない表情だ。「物価対策をしっかりしてほしいです。お米も高くて。これ以上、日常で使うものが値上がりすると困ります」
「とげぬき地蔵尊」参拝のため千葉県松戸市から来た夫婦は、「(石破内閣は)短命だと思う」と声をそろえた。
68歳の妻は、「あまり、良い印象がないですね。(9月30日に)株価が下がったのも、期待感が低い表れ。(株で)ずいぶん損しましたよ」と苦笑する。世論調査では女性人気が高かったことを伝えると、「えー」と驚きの声を上げた。「まあ、(石破氏の)奥さんの佳子さんは人気、出そうだけど」
78歳の夫は、「無理、無理。統一教会と裏金の問題は、解決できないよ」と言う。女性も、「不信感がありますね。だから、短命と言われる。裏金問題など、ちゃんとしてほしい」と注文した。