大阪市淀川区の障害者支援施設で歯の治療中だった男性入所者の体を押さえつけて死亡させたとして、大阪府警は30日、男性歯科医師(61)=大阪市阿倍野区と女性看護師(55)=兵庫県西宮市=を業務上過失致死容疑で大阪地検に書類送検した。府警は治療を嫌がる男性に適切な措置を取らなかったとして、起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。
書類送検の容疑は5月27日、入所者の橋本邦彦さん(当時69歳)が強く拒んだにもかかわらず、虫歯の治療を続行。女性看護師が橋本さんの上半身に馬乗りになって身動きできなくし、急性呼吸障害などで死亡させたとしている。
男性歯科医師は外部から定期的に診察に訪れており、施設に勤務する女性看護師らとともに入所者の歯の治療をしていた。
府警捜査1課によると、橋本さんは重度の知的障害があり、意思疎通は難しかった。ただ、府警は男性歯科医師が過去の診察で、橋本さんが治療を極端に嫌がるのを把握していたと判断。女性看護師とともに全身麻酔など別の対処方法を取るか、治療を中止すべきだったとした。
男性歯科医師は「身体拘束は看護師に一任していた」。女性看護師は「治療の続行は、医師が暗に身体拘束を指示したということ。他の選択肢がなかった」と話しているという。【斉藤朋恵】