自民党の石破茂総裁は30日、党本部で記者会見し「新政権はできる限り早期に国民の審判を受けることが重要だ」と述べ、衆院選を10月27日に実施すると表明した。公示は15日。石破氏は1日召集の臨時国会で首相に選出された後、所信表明演説や代表質問などを経て、9日に衆院解散に踏み切る方針。新総裁が選挙日程を明言したことで、与野党は事実上の選挙戦に突入する。
首相選出前の表明は異例で、石破氏は「全国の選挙管理委員会などの選挙準備の観点から表明した」と説明した。
自民派閥の政治資金パーティー裏金事件による逆風を受け、党内や連立を組む公明党からは、新政権発足の勢いがあるうちに早期解散を求める声が強まっていた。自民候補の擁立見送りが決まっている参院岩手選挙区補選が27日にあり、同日選を仕掛けるべきだとの意見も出ていた。
首相就任から8日後の解散、26日後の投開票はいずれも戦後最短。解散から投開票までは18日間で、2021年衆院選の17日間に次いで戦後2番目の短期決戦となる。
野党は一斉に反発し、予算委員会の開催などを要求している。石破氏は会見で「国民の皆様に判断いただける材料をきちんと整える努力は続けていく」と語り、代表質問後に党首討論の実施などを検討している。
石破氏の会見に先立ち、自民は臨時総務会を開き、幹事長に森山裕総務会長▽政調会長に小野寺五典元防衛相▽総務会長に鈴木俊一財務相▽選対委員長に小泉進次郎元環境相――を充てる人事を正式決定した。
党四役以外では副総裁に菅義偉前首相▽最高顧問に麻生太郎副総裁▽国対委員長に坂本哲志農相▽組織運動本部長に小渕優子選対委員長▽幹事長代行に福田達夫元総務会長――を起用。平井卓也広報本部長、松山政司参院幹事長、石井準一参院国対委員長の再任も決めた。
小泉氏は記者会見で、裏金問題に関わった議員の選挙公認について「地方組織や党員の思いも踏まえ、総裁、幹事長と執行部で厳正に判断したい」と述べた。小野寺氏は「解散に向け速やかに政権公約の取りまとめに入りたい」と選挙準備を加速させる考えを示した。【園部仁史、川口峻、森口沙織】