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NHKラジオ問題で辞任の理事、1週間後にプロデューサーで再雇用


 NHKのラジオ国際放送などの中国語ニュースで、中国籍の外部スタッフ男性が沖縄県・尖閣諸島について「中国の領土」などと発言した問題で、10日に引責辞任した国際放送担当の傍田(そばた)賢治前理事が、NHKメディア総局のエグゼクティブ・プロデューサーとして再雇用されていたことが25日、複数の関係者への取材で判明した。辞任から約1週間後に、契約職員として復帰したという。

 局内などから「辞任後わずか1週間での再雇用で、『偽装辞任』だ」との批判の声が上がっている。

 外部スタッフの問題を受け、NHKは10日、傍田氏の辞任の他、稲葉延雄会長や井上樹彦副会長ら幹部4人が役員報酬50%を1カ月自主返納するなどと発表。稲葉会長は同日の記者会見で「会長として慚愧(ざんき)に堪えない思い」と謝罪した。井上副会長は原因究明の検証のトップとして指揮を執った。総務省は11日、この問題でNHKに注意の行政指導をした。

 傍田氏は、モスクワ支局長やアメリカ総局長などを歴任し、関連会社社長を経て今年4月、理事に就任。NHKの不祥事による理事の辞任は、2008年に同局記者らによるインサイダー取引問題で、当時の橋本元一会長らが辞任して以来だった。傍田氏は国際畑での経験や実務能力などへの評価が高く、NHK幹部は再雇用の理由について「海外にいた知見を生かしてほしいということ」などと説明。別の関係者は「中国人スタッフの問題発言は生放送中の事故のようなものであり、辞任はもったいないと思っていた」と話した。

 問題の発言があったのは、8月19日午後1時過ぎに生放送された中国語ニュース。原稿を読んでいた中国人スタッフの男性が、尖閣諸島を「中国の領土である」と述べるなど、ニュース原稿にはない不適切な発言を計約27秒間続けた。

 NHKは、再発防止策として、すでに生放送を事前収録に切り替えている他、今後は早期に「AI音声」による読み上げを導入するとしている。【井上知大、諸隈美紗稀、平本絢子】

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