7月の東京都知事選で政党の支援を受けず、SNS(ネット交流サービス)を駆使して躍進した石丸伸二・前広島県安芸高田市長(42)が毎日新聞のインタビューに応じた。与野党ともに高い支持を得られていない政治の現状について「全く興味を持たれない『終わっているコンテンツ』になって久しい」として「オワコン」だと主張。次期衆院選で、自民党総裁選に勝利し新首相に選ばれる議員が出馬する選挙区への立候補を検討していることを明かした。
都知事選は、自民党などの「自主的支援」を受けた小池百合子知事と蓮舫・元立憲民主党参院議員の一騎打ちという予想を覆し、石丸氏が約166万票を得て2位に躍り出た。各メディアの出口調査で若者の支持が他候補より高く、「石丸現象」と呼ばれた。
石丸氏は躍進の要因について、若者に限らず、人口に占める割合が多い中高年の支持を幅広く得たとの認識を示した。「(動画投稿サイトの)ユーチューブを使い、ネット戦術で私が固めてきた支持層は圧倒的に中高年の皆さんだ」と説明。動画のアクセス解析によると「6~7割は自分より年上の人が見ている」といい、「若者を中心に支持が広がったというのはミスリードだ」と語った。
「エンタメ化」で政治を身近に
市長時代に議会と激しく対立する場面などをSNSに投稿し、注目を集めた。著書で政治に興味を持ってもらう「政治のエンタメ化」を提唱していることについて、「もてなす」「招き入れる」という意味でエンタメという言葉を使っているとし「一番エンタメであるべき存在は政治だ」と強調した。
既存政党に対し「どこも支持できない、したくない国民が圧倒的多数だ。この現実をおかしいと思わないのか。絶対に狂っている」と激しく批判した。
次期衆院選を巡っては「国民の意識を政治に引き寄せるためには、自民党総裁選にロックオンするのが必要だ」と述べ、総裁選の勝者の選挙区から出馬する考えを表明。有力候補の一人とされる小泉進次郎元環境相(43)らを念頭に「『必ず公開討論会をしましょう』と言って出たい」と語った。
一方で「(自治体の)首長の方が自分のタイプには向いている」とも話し、次の都知事選に向け、2025年の都議選で賛同者を増やす戦略があるかを問うと「アイデアとしては無数にある。その一つには当然ある」と述べた。【田中裕之】