名古屋市内の公立学校の校長らで作る任意団体「名古屋市教育会」が各校の文化活動や教職員研修への支援を名目に保護者から会費を集めていることについて、河村たかし市長は17日の定例記者会見で「こんなことやってはいかん。全容を明らかにしたい」と述べ、市教育委員会事務局に全面調査を求めた。
この問題では、市立の幼稚園、小中高校で毎年新学期になると、クラスの担任が「教育会入会のお願い」と書かれたチラシを子どもに配布。1口100円の会費を保護者に募り、担任が学校で徴収し、領収書を発行している。
2023年度は会の収入の約8割を保護者の会費で賄う一方、支出の3分の1を市教育会事務局員の給与に充てている。事務局員は元校長2人を含む計3人で、一部保護者や教員からは「教育会の事業は本来は教育委員会が予算化すべきもの」「校長の天下り組織」などとの批判が出ている。
河村市長は「学校という閉鎖空間で(教育会が子どもから)集金することはいかんですよ」と批判。教員が子どもの内申点を付ける権限を有している点に触れ「ものすごい力を持つ先生が(入会チラシを)配っていれば事実上強制になる」と懸念を示した。
市教育会会長は市立小中学校長会長が務め、校内での勧誘・集金行為は各校長が判断している。河村市長は市教委が校長会など教員団体から校長職の推薦名簿や金品を受け取っていた問題にも触れ「いろいろあったもんで全部お金の流れを調べる。権力をかさにこういうことをやってはいかん」と強調した。【川瀬慎一朗、真貝恒平】