イスラエルと戦闘を続けているレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘員らが保有している無線通信機が17日、レバノン各地で一斉に爆発し、多数のヒズボラのメンバーが負傷した。ロイター通信などが報じた。無線機は日本で「ポケットベル」と呼ばれていたタイプで、イスラエルによるサイバー攻撃だった可能性がある。
ロイターは治安関係者の話として、負傷者は数百人に上ると伝えた。イスラエルは関与についてコメントしていないが、事実であれば、多数の通信機器をハッキングして爆発させる手法は極めて異例だ。
また、ヒズボラを支援するイランのメフル通信は17日、この攻撃で在レバノン・イラン大使が負傷したと報じた。事実であれば、イランとイスラエルの間で緊張がさらに高まる可能性がある。
報道によると、爆発はヒズボラの拠点である首都ベイルート南部を中心に、レバノン各地で発生。ソーシャルメディアには、市場や店舗などで小規模な爆発が起き、所有者が倒れる場面を映した複数の動画が投稿された。ロイターの記者はベイルート南部で、ヒズボラのメンバー少なくとも10人が負傷したのを確認したという。
ヒズボラは昨年10月、パレスチナ自治区ガザ地区でイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘が始まって以来、イスラエルと断続的に交戦を続けている。イスラエル首相府は17日、ヒズボラとの戦闘で避難生活が続く北部の住民の「安全な帰還」を戦争の目的に加えると発表し、ヒズボラへの攻勢を強める姿勢を示していた。【エルサレム金子淳】