オンライン形式での就職試験では、2人に1人が不正を経験――。そんな調査結果を、ビジネスに関する検定試験を主催する「サーティファイ」(東京)が公表した。新型コロナウイルス禍でオンライン形式の就職試験が一般的になっており、調査担当者は「黙認することは企業にとってもリスクになる」と不正防止対策の強化を呼び掛けている。
調査は3~6月、2020~23年度の大学卒業生と24年度の卒業予定者を対象にオンラインで実施。就職活動時の実体験を尋ね、328人から有効回答を得た。
「オンライン試験で不正をしたか」との質問には、半数の164人が「不正をしたことがある」と回答。「どのような不正をしたか」を複数回答で尋ねたところ、67人が「スマートフォンやタブレットの利用」、64人が「パソコンの利用」、48人が「友人・知人の協力」と答えた。「有償の代行サービス」と答えた人も23人いた。
不正ができる状況で選考を実施した企業に対しては受験者側から「危機管理が甘い」「セキュリティー意識が低い」「評価が不公平」といったイメージが持たれていた。
「不正防止のために企業に期待すること」では、「AI(人工知能)で監視を強める」「試験開始前に周辺やポケットを映す」「不正に対するペナルティーを設ける」といった回答が目立った。
担当者は「AIでの視線検出などによる不正防止も普及しているが、スマートフォンやタブレットなど手元の機器を利用した不正は見抜けない可能性もある」と指摘。「不正の黙認は、公平な選考による優秀な人材を逃すことにつながり、コンプライアンス(法令順守)上のリスクも高まる」としている。【斎藤文太郎】