8月に栃木県内の高速道路で、車が逆走した末に起きた衝突事故が2件相次ぎ、死傷者が出たことを受け、栃木県警と東日本高速道路、県道路公社は9日、鹿沼市で対策会議を開いた。関係者約20人が出席し、当事者の約半数を認知症の疑いがある人が占めている現状や対策を共有した。
県警高速隊によると、2019年から24年8月までに認知した高速道での逆走事案は71件で、運転手の身柄を確保したのは25件。このうち13件で運転手が認知症の疑いがある人だった。
会議では、運転に不安がある人の電話相談窓口「♯8080」を家族へさらに知ってもらうほか、注意喚起の標識の設置、目的のインターチェンジ(IC)を通り過ぎても、次のIC料金所で申し出れば追加料金なしで目的のICまで戻ることができる「特別転回」の周知に、さらに力を入れていくことなどを確認した。
会議後、県警高速隊の佐藤彰規副隊長は「家族に認知症の疑いがあるドライバーがいたら、積極的に電話相談を利用してもらいたい。また、運転中に目的のICを通り過ぎてもあせらず、特別転回を利用してほしい」と呼びかけた。
県内では8月15日朝に、那須塩原市横林の東北自動車道下り線で、逆走した60代男性運転の軽貨物車が乗用車と衝突し2人が死亡し、2人がけがをした。16日夜には、栃木市岩舟町の東北道上り線で、逆走した80代男性運転の乗用車とバイクが衝突し、バイクに乗っていた男性が重傷を負った。【池田一生】