8日に栃木県真岡市で開かれていた音楽イベント「ベリテンライブ」では、落雷で負傷した可能性がある10~20代の男女6人が救急搬送された。落雷への安全対策はどのように行われていたのか。主催したエフエム栃木によると、会場には移動式の避雷針を配備し、現地の気象情報についても気象情報会社と契約し細かくやりとりをしていたという。
同社によると移動式の避雷針は、音楽イベントがあった井頭公園入り口あたりと会場内の物販エリア、ステージ付近に3本設置。トラックに積まれたクレーンを伸ばし高さ約30メートル付近に避雷針は設置され、落雷から保護できる範囲は半径100メートルほどだったという。
気象予報会社は夕方ごろに現地に雨が降ることを予測。運営側は雷雨のため、午後3時40分ごろに一時中断した。観客を避雷針近くのステージ前方に誘導し、安全な姿勢でしゃがみながら待機するよう呼びかけたという。
同社は8日、「悪天候に対する対策に万全を期してきたが、運営スタッフにけが人が発生したことについて心よりお詫び申し上げる」とのコメントを出したほか、9日朝の番組内でパーソナリティーが同様の趣旨でおわびの言葉を述べた。
近年、野外の音楽イベントの動員数、市場規模はコロナ禍を除けば拡大傾向にある。
ぴあ総研によると2023年の動員数は341万人。市場規模はチケットの販売だけでも390億円に上る。共にコロナ禍前の2019年と比較しても15%以上増加し大幅に伸びた。
市場規模拡大の背景には、会場となる自治体も積極的に受け入れに関与してきた経緯がある。交通費や宿泊費、観光費など地元経済への波及効果だけでなく、イベントが有名になる事で、自治体の認知度が高まる効果は大きい。
一方で、近年は野外の音楽イベントが行われる夏場に異常気象が発生しており、観客の安全を守るべく主催者側は対応に試行錯誤している。【村田拓也】