近年、一人っ子が増加している。国立社会保障・人口問題研究所が2021年に実施した「出生動向基本調査」によると、子どもを産み終えたとみられる夫婦(結婚から15~19年が経過)の子どもが1人の割合は、19・7%だった。1980年代から02年までは10%程度で推移してきたが、05年に11・7%へと微増。その後、10年は15・9%、15年は18・5%と増加し、約20年で1割から2割へと急増したことになる。
夫婦の子どもの人数別では、2人(50・8%)が最も多く、1人(19・7%)はそれに次ぎ、3人(18・6%)と0人(7・7%)、4人以上(3・2%)を上回った。かつては2人、3人、1人の順で多かったが、15年から2人、1人、3人の順となった。比較的珍しかった一人っ子はそうではなくなっている。
実際に生まれた子どもの人数を結婚当時の予定と比較すると、妻の初婚年齢が高くなるほど予定を下回る傾向があり、一人っ子増加には晩婚化の影響がうかがえる。
大阪経済大の苫米地なつ帆准教授(家族社会学)は「一人っ子が増加する要因は晩婚化だけではない。一人っ子が増え始めた時期は、90~00年代の経済状態が悪い時期に世に出た『就職氷河期世代』が結婚した時期と重なる。そのため経済的理由で一人っ子にせざるを得ないと判断した状況もあったのではないか」と指摘している。【野原寛史】