兵庫県の斎藤元彦知事がパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題で、県議会の調査特別委員会(百条委)は6日午前、知事の最側近だった片山安孝・元副知事(7月に辞職)を初めて証人尋問した。片山氏は「(告発文の内容について当時の)総務部長が第三者機関での調査を知事に進言したが否定された」と証言した。
片山氏によると、告発文の存在を把握した3月下旬、後に理事になった当時の総務部長(8月1日付で総務部付)が知事に第三者機関での調査を進言したという。片山氏は「『第三者機関なら時間がかかるよね』と、知事から否定されたと報告を受けた」と説明した。
一連の問題は元県西播磨県民局長の男性(7月に死亡)が3月、知事のパワハラを含む七つの疑惑を告発する文書を報道機関や県議に配布したことで発覚した。
元局長は県の公益通報窓口にも通報したが、県は通報者への不利益な扱いを禁じた公益通報者保護法の対象外と判断。内部調査を進めた結果、「核心部分が事実でなく、誹謗(ひぼう)中傷に当たる」と断じ、元局長を停職3カ月の懲戒処分にした。
元局長は7月、県内の親族宅で亡くなっているのが見つかった。処分に踏み切った県の対応に問題がなかったか百条委で調査が進められている。
片山氏は県政混乱の責任を取るとして7月に辞職。辞意を表明した記者会見で「知事を支えきれなかった」と述べ、5回にわたって知事に辞職を進言していたことを明らかにした。【野原寛史、洪玟香】