
2022年に政治資金規正法違反で薗浦健太郎元衆院議員が罰金などの略式命令を受けた事件で、元秘書が東京地検特捜部の調べに対し、薗浦氏が所属していた自民党派閥「為公会」(現・志公会=麻生派)の政治資金パーティーの収入から17年に分配された380万円を事務所の裏金をためる口座に入れたと供述していたことが刑事裁判の確定記録から判明した。
自民派閥の政治資金パーティー裏金事件では安倍、二階、岸田各派が立件されたが、麻生派で裏金の存在を認める証言が確認されたのは初めて。
為公会の17年のパーティーは同年4月12日に開催。薗浦氏と為公会双方の17年の政治資金収支報告書に380万円の資金移動の記載はなく、派閥側も裏金作りに関与していた可能性がある。17年の不記載は政治資金規正法の公訴時効(5年)が成立している。
刑事裁判の確定記録は毎日新聞記者が東京地検に閲覧申請し、開示された。供述したのは、17年当時、薗浦氏の事務所全体の資金管理をしていた元公設秘書。22年12月6日付の供述調書によると、元秘書は検察官に対し、事務所に「そのけん会口座」という「裏の口座」があったと明言し、「政治資金収支報告書に記載せずに選挙などに自由に使える資金を積み立てる」ために使っていたと説明した。
その上で、自作の経理資料を示しながら、パーティー開催から2カ月後の17年6月の口座の入出金状況などを説明。資料には「為公会 3800万円」との記載があり、「380万円の誤記であり、為公会のパーティー収入のうち薗浦事務所の収入として分配を受けたものを『そのけん会口座』に入金したものだった」と供述した。
自民派閥の裏金事件では、派閥のパーティー券をノルマ以上に売った所属議員にキックバック(還流)された資金が派閥と議員双方の収支報告書に記載されていなかったことなどが問題化した。
元秘書は取材に「380万円の件は覚えていないが、検察には資料を見ながら話した。派閥のパーティー収入から分配された金なら還付金しかない」と説明。薗浦氏は代理人を通じて「(380万円の件は)全く知らない」と回答した。
為公会の後継団体の志公会は取材に「刑事記録に関する問い合わせは内容を承知していないのでコメントを差し控える。為公会は法令に基づき適正に収支報告をしてきたと承知している」と回答した。【大場弘行】