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抜歯の全身麻酔で17歳死亡 歯科医2人を業過致死容疑で書類送検


 堺市重度障害者歯科診療所(堺区)で2023年7月、全身麻酔での抜歯中に特別支援学校の男子生徒(当時17歳)を低酸素状態に陥らせて死亡させたとして、大阪府警は26日、いずれも歯科医師の男性所長(55)と女性(34)を業務上過失致死容疑で書類送検した。酸素を供給するチューブの挿管状況を正確に把握できておらず、その後の処置も不適切だったとして、起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。

 亡くなったのは、大阪府立の特別支援学校3年生だった富川勇大(ゆうた)さん。診療所は08年に開設され、堺市歯科医師会が運営。治療中にじっとしていられないなど、一般の歯科医院での治療が難しい患者に対応している。親族によると、勇大さんは発達障害があり、親知らず2本を抜くために受診した。

 書類送検の容疑は23年7月13日午後1時すぎ、女性医師が富川さんに全身麻酔を施した後、酸素チューブを鼻から気管に挿管。間もなくして富川さんの呼吸の異常を知らせる機器の警報音が鳴ったにもかかわらず、チューブを挿管し直すなどの適切な措置を怠ったとしている。男性所長は30代の医師を指導する立場だったのに、富川さんの異変を知った後に救急要請する手続きが遅れたとされる。

 医師らが救急要請したのは、富川さんが心停止した後の13日午後2時25分ごろだった。関係者によると、血中の酸素飽和度は正常なら96%以上とされるが、この際の富川さんは20%台に低下。富川さんは搬送された別の病院で約1カ月後の8月9日に亡くなった。死因は低酸素虚血性脳症だった。

 府警の捜査で、酸素チューブは当初は適切に気管に挿管されたとみられるが、その後何らかの事情で先端部分が気管から外れた状態になっていたという。原因は特定できなかった。ただ、約40人の歯科医師らに意見を聞いた結果、適切な措置がとられていれば富川さんを救命できたと結論づけた。

 堺市歯科医師会は取材に「府警が書類送検したことを聞いておらず、何も言えることがない」とコメントした。【林みづき、斉藤朋恵】

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