岸田文雄首相が退陣する意向を表明し、夏休み返上で対応に追われた霞が関の官僚たちがぼやいている。例年、お盆は中央省庁も静まりかえるが、急きょ家族との休暇を切り上げて登庁した職員も。公務員の長時間労働が問題となるなか、「お盆すら休めないのか」と恨み節が漏れている。
岸田首相が臨時記者会見を開いて9月の自民党総裁選に立候補しないと表明した14日。職場の半数程度が夏休み中のある省庁では、同僚らと会見のテレビ中継を見ていた若手職員が「霞が関なんて、正月かお盆しか休めない人たちがいっぱいいる」と肩を落とした。休み返上で出勤した上司がいらだっていたといい、「これから内閣改造、総選挙、予算編成、国会対応と全然休めない。お盆明けの表明じゃいけなかったのかな……」とため息をついた。
別の経済官庁幹部は、「みんなお盆休みで実家に帰省しているのに、電話もかかってきて、一気に仕事モードへ引き戻された」とこぼした。夏休みを切り上げざるを得なかった総務省幹部は「今年は(部下の)職員にもしっかり休むよう言ったばかり。(帰省していた)娘と久しぶりに会っていたのに、仕事だと言ったら家族はあきれていた」と明かした。
国家公務員制度担当相を兼任し、国家公務員の働き方改革を進める河野太郎デジタル相は、15日の閣議後の会見で、お盆まっただ中の首相の退陣表明について「デジタル庁は特に何の変わりもなく、お盆休みを継続していただいている」とかわした。他省庁の対応については「(それぞれの)閣僚にお尋ねください」とそっけなかった。【藤渕志保、古屋敷尚子】