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岸田首相退陣 裏金事件震源地の愛知関係者「すぐに総選挙あるかも」


 岸田文雄首相は14日、「政治とカネ」の問題にけじめをつけるとして、9月に予定される自民党総裁選に出馬しない意向を示した。党派閥の政治資金パーティー裏金事件で国会議員が逮捕されるなど、震源地となった衆院愛知3区では事件で除名された国会議員の後任選びが進む。関係者からは「総裁選後、すぐに総選挙があるかもしれない」と焦りの声も。一方、自民の地方議員や有権者からは「誰が総裁だろうが体質は変わらない」などの声も上がった。

 裏金事件を巡っては、衆院選愛知3区(名古屋市天白区など)を地盤とする衆院議員の池田佳隆被告=比例東海=が政治資金規正法違反容疑で逮捕、起訴された。岸田首相の総裁選不出馬のニュースが流れた14日午前、名古屋市内では、愛知3区の候補者選考委員会が開かれていた。

 会の冒頭、委員長で県連会長の丹羽秀樹衆院議員は岸田首相の不出馬に触れた上で「総裁選を終えたら、もしかしたらすぐにでも総選挙があるかもしれない。さらに加速度的に選考を行っていかなければならない」と呼びかけた。

 池田氏は逮捕後に党を除名されたため、同県連は3区の候補者を公募。全国から20人が応募し、面接を重ねるなどしてこの日行われた4回目の選考委員会で候補者は3人まで絞られた。

 終了後、丹羽会長は報道陣の取材に「スピード感を持ちながら、臨機応変に対応していくことが委員会に求められる。総選挙のタイミングも見極めたい」と述べた。さらに次期総裁について「資金力によって総裁が決まることがあってはならない。国民の道しるべとなるような政策を打ち出していただきたい」と注文をつけた。

 県連は、愛知3区の候補者を、総裁選の時期に合わせて発表する方針。3区の地方議員の一人は「とにかくこの選挙区の印象は悪い。誰が総裁になろうと、早く新しい候補者を立てて態勢を整えることに努めたい」とし、別の議員は「これで自民党が変わるんだと有権者から受け止めてもらえるのでは」と期待した。

 一方、3区内の有権者からは厳しい声が上がる。名古屋市天白区の女性(83)は「池田氏に期待していただけに、雲隠れを続けていることは残念でならない」とし、総裁選について「誰がいいかわからないし、誰になろうが自民党は変わらないのでは」と諦め顔だ。名古屋市緑区の男性(73)も「これを機に、裏金に関わった議員はきちんと正直に話して、辞職してもらったらいい」と話した。

 自民岐阜県連の村下貴夫幹事長は取材に「岸田首相は最低賃金の引き上げなどで実績を上げたが、裏金問題への対応が後手に回ったのが痛かった」などと語った。【加藤沙波、荒川基従、川瀬慎一朗、太田圭介】

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