滋賀県で来年開催される国民スポーツ大会・障害者スポーツ大会(国スポ・障スポ)に向けて整備が進められていた草津市西大路町の「インフロニア草津アクアティクスセンター」(草津市民プール)が8月1日にオープン。水深が変えられる50メートルプールや西日本唯一の通年利用可能な屋内飛び込みプールなど、世界レベルの水泳競技選手を育成する拠点として期待される。【礒野健一、飯塚りりん】
2021年度に着工し、地上3階地下1階で延べ床面積は1万4744平方メートル、総事業費は約155億円。「インフロニア・ホールディングス」傘下の前田建設工業関西支店(大阪市)がネーミングライツ(命名権)を取得した。
50メートルプールは可動床となっており、4分割して水深を0~3メートルで調整できる。飛び込みプールは最大深度5メートルで、飛び込み台の高さは3メートル、5メートル、7・5メートル、10メートルの4種類。練習時に飛び込みの衝撃を和らげるため人工的に気泡を出す「バブルマシーン」も設置されている。地下には飛び込み練習用の跳躍器具やスポンジプールを設置した「ドライランド」が整備され、ジュニア世代の育成環境も整えた。
観客席は固定で約1300席、仮設席を含めると最大約2500席。一般利用可能な25メートルプールやトレーニングルームも整備されている。
9~11日には国スポのリハーサル大会として「第71回全国国公立大学選手権水泳競技大会」が開催されるほか、22日からは飛び込みのジュニアオリンピックカップ、30日からは飛び込みの日本選手権と大きな国内大会が予定されている。
運営統括責任者を務めるスポーツクラブ「ビバ」(京都市)の小橋正貴さんは「競泳や飛び込みだけでなく、水球やアーティスティックスイミングなどの競技力向上にもつながる。ここを拠点に草津から将来のオリンピアンを輩出していきたい」と意気込んだ。
7月27日に開かれた開館記念式典では22、23年に開かれた水泳の世界選手権のアーティスティックスイミングで2年連続ソロ2冠を達成した乾友紀子さん=近江八幡市出身=らが初泳ぎを披露した。
橋川渉市長は「国内トップクラスの大会を開催し、世界に羽ばたく選手が育つことを期待するともに、市民が健康作りの場として利用できる施設になってほしい」とあいさつ。その後、県出身のアスリートからのメッセージ動画が流された。東京オリンピック競泳で2冠に輝いた草津東高出身の大橋悠依選手は「待ちに待ったプールの完成がうれしい。このプールから世界に羽ばたく選手が出てきてほしい」、東京パラリンピック競泳の金メダルを獲得した木村敬一選手は「多くのパラスイマーが募り、大会が開かれることを願う。泳ぐのを楽しみにしている」と祝福した。
初泳ぎとして立命館大と草津東高の水泳部が競泳を、東京五輪代表の伊藤洸輝選手らが飛び込みを披露。乾さんが華麗なアーティスティックスイミングで会場を沸かした。