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「離婚を強制」トランスジェンダーの既婚者 家裁に性別変更申し立て


 戸籍上は男性で、女性として暮らしているトランスジェンダーの当事者が16日、男性から女性への性別変更を求める家事審判を京都家裁に申し立てた。変更の要件として性同一性障害特例法が定める「婚姻をしていないこと」(非婚要件)が憲法に反すると訴えている。

 京都市で暮らす50代の当事者は幼少期から自らの性に違和感を抱き、中学生の頃には「女の子でいたい」との気持ちを強めていたという。9年前に結婚した40代の妻には自らの思いを伝え、結婚後に女性的な戸籍名に変更。法律上は男女だが、女性同士のカップルとして生活している。

 非婚要件について最高裁は2020年3月、「異性間のみ婚姻が認められている秩序に混乱を生じさせないための配慮で、合理性を欠くとは言えない」として合憲と判断している。

 これに対し、審判を申し立てた当事者は自認する性が尊重されるべきだと指摘。現行制度は離婚を強制しているとし、幸福追求権を定めた憲法13条や婚姻の自由を保障した24条1項に反していると訴え、婚姻関係を続けたままでの性別変更を求めている。

 審判を申し立てた後、妻と並んで記者会見した当事者は「妻と信頼し合って9年間築き上げてきたものを法律が引き裂いていいのか」と訴えた。

 特例法では、性別変更が認められるために非婚要件のほか、18歳以上▽未成年の子供がいない▽変更する性別の性器に似た外観を備える――の要件を定める。生殖機能をなくす手術が必要とする要件は最高裁が23年10月に違憲・無効としている。【水谷怜央那】

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