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「明石ダコ」ピンチ 資源はピークの1割強 回復に船釣り客が一役


 全国的に名高い兵庫特産の「明石ダコ」(マダコ)の本格的なシーズンを迎えたが、資源の枯渇が深刻化している。自然環境や人的などさまざまな要因が複雑に絡み合っていると推測される。危機的な状況を打開するため、漁業者以外も巻き込んだ本格的な対策が始まった。「みんなで多幸に!」が合言葉だ。

海峡でもまれ、歯ごたえ

 3月末、タコの餌となるスダレ貝など二枚貝の放流に同行した。兵庫県明石市西端・東播磨港から小型船で出発。沖合数キロの播磨灘で、一般の釣り客を相手する遊漁船業者らが次々と海面にまいていった。市内五つの漁協に所属する業者らで構成する市漁業協同組合連合会の遊漁船代表者部会メンバーだ。1カ月前の放流分と合わせて計350キロ、費用は釣り人からも募った。

 明石ダコは主に明石市沖で取れるマダコの総称。明石海峡の速い潮流にもまれた足(腕)は太く短く筋肉質なのが特徴で、弾力のある歯ごたえとうまみが魅力だ。全国漁業協同組合連合会による地元漁師が選んだ自慢の海産物「プライドフィッシュ」にも選定されている。関西ではだしにつけて食べる「明石焼」や通常のたこ焼き、瀬戸内海沿岸でもたこ飯などでもおなじみだ。

 かつては年1000トンの漁獲量を誇り、質量とも他産地を圧倒していた。市によると、2016年に750トンを割り込み、21年には143トンと近年では記録的な不漁を記録。ここ数年は100~200トン台の低水準で推移している。

 理由はいくつか挙げられる。まずは、水質が改善して植物プランクトンが減り、餌となる魚介類も減少する「海の貧栄養化」や、海水温上昇によって冬場に南方へ移動しなくなったタイがタコの幼生を捕食するといった自然的な要素が考えられる。さらに、10年前からブームになっている一般のタコ釣りといった人的な要因も指摘されている。

 漁業者らは以前から危機感を持っており、市漁連は60年近く前から毎年、市の補助を受けて産卵用のタコつぼ2000~5000個を海中へ投入し続けている。さらに体重200グラム以下の捕獲を禁じ、操業区域や漁業時期などで自主規制を設けている。ただ、これらの取り組みだけでは歯止めとなっていない。

リリースでポイント付与

 こうした状況は、一般の釣り客を相手に商売している遊漁船業者にとっても死活問題だ。漁業者と協力して取り組もうと市漁連内に19年、遊漁船部会を設置し、現在54業者が加盟。操業時間にルールを設け、漁具の形や餌の規制について釣り客に理解を求めている。

 一方的な規制では幅広い協力を得られないと考え、22年からは全国に先駆けて「タコマイレージ制度」を導入。リリース量に応じて釣り客にポイントを付与し、一定のポイントを集めればオリジナルステッカーや漁具などのグッズと交換する。初年は延べ3997人が計1万2590匹を放流してくれた。

 遊漁船部会の松本正勝部会長(64)は「(資源が)ゼロになってからでは回復は無理。今のうちに保護活動を漁業者と一緒にやっていきたい」。明石浦漁協の前副組合長で底引き網漁業を営む中崎輝也さん(60)は「部会を通じて一般の釣り客にも(ルールを)アナウンスしてもらえる利点がある。今後も協力して続けていきたい」と話している。【入江直樹】

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