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米連邦最高裁の判事宅に逆さ国旗、トランプ氏支持か 中立性に疑念


 米連邦最高裁の保守派判事、サミュエル・アリート氏の自宅や別荘に、2020年大統領選に不正があったと主張するトランプ前大統領の支持者らが抗議活動で使っていた旗が掲げられていたと米メディアが報じ、波紋が広がっている。最高裁は21年1月に起きた支持者らによる連邦議会襲撃事件で、大統領としての免責特権がトランプ氏に適用されるのかなどを審理している。中立性が疑われかねず、民主党の議員らは審理から外れるよう求めている。

 発端は、米紙ニューヨーク・タイムズの16日の報道だ。南部バージニア州にあるアリート氏の自宅庭に21年1月17日、上下逆さまの米国旗が掲げられていたことを、近所の住民が撮影していた写真と証言で報じた。議会襲撃事件の11日後で、バイデン大統領の就任式の3日前のことだった。

 米国では、生命、財産に極度の危険が及ぶような切迫した事態の合図として用いる場合を除き、国旗を逆さまに掲揚すべきではないとされている。平時に逆さまに掲揚する場合は抗議の意味合いが込められていることが多く、20年大統領選の敗北を認めないトランプ氏の支持者らも逆さまに掲げていた。

 アリート氏は同紙に対し、隣人への抗議のために妻が掲げたものだと説明し、掲揚への関与を否定した。しかし、民主党の下院議員45人は21日にアリート氏に書簡を送り、本人が関与していなかったとしても、大統領選の結果を覆そうとしていた活動家らが抗議の象徴として使っていた逆さまの国旗を掲揚することは「不適切な政治的偏見」や「利益相反」の印象を与えるとして、事件に関する審理からは外れるよう求めた。

 さらにニューヨーク・タイムズ紙は22日、東部ニュージャージー州にあるアリート氏の別荘の外で23年7月と9月、松の木と「天への訴え」という文言が書かれた旗が掲げられていたと報じた。独立戦争中に使用された旗で、反抗のメッセージが込められているという。これも事件の際にトランプ氏の支持者らが掲げていた旗の一つだ。

 最高裁判事は9人で構成され、現在は保守派がアリート氏を含めて6人、リベラル派が3人。昨年、保守派のクラレンス・トーマス判事が高額な接待を受けていた疑惑などが報じられ、批判を受けた最高裁は判事に関する初めての行動規範を策定した。行動規範には、政治的活動や特定候補者を公に支持、または反対することなどはすべきでないと明記されているが、拘束力はない。【ワシントン西田進一郎】

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