神戸市長田区のラーメン店で2023年4月、店主が射殺された事件で、兵庫県警は事件に関与した疑いが強まったとして、指定暴力団絆会幹部、金成行被告(55)を近く逮捕する方針を固めた。捜査関係者への取材で判明した。県警は暴力団同士の抗争の可能性があるとみている。
事件は23年4月22日午前、神戸市長田区東尻池町9のラーメン店「龍の髭(ひげ)」で、店主で特定抗争指定暴力団山口組弘道会傘下組織の余嶋学組長(当時57歳)が頭部から血を流し、倒れているのを従業員が発見した。頭部に銃弾が残っており、搬送先で死亡が確認された。
捜査関係者によると、県警が現場付近の防犯カメラ映像を精査するなどした結果、金被告の関与が浮上した。事件の直前に帽子をかぶった人物が店内に入り、数分後に立ち去る様子が記録されていた。
金被告は長野県宮田村で20年9月、暴力団関係者の男性に発砲して重傷を負わせたとして、長野県警などが殺人未遂容疑で逮捕し、同罪などで起訴された。22年1月にも水戸市で別の暴力団関係者を殺害したとして、24年4月に茨城県警が逮捕、5月21日に起訴された。
絆会は15年に山口組から分裂した特定抗争指定暴力団神戸山口組から一部が離脱し、17年に結成された。20年に現在の名称に変更した。兵庫県警は近く、金被告の身柄を県内に移送して調べる。