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子どもの長期休暇が繁忙期… レゴランドが始めた「企業内学童」


 テーマパークを探検し、レゴブロックは使いたい放題――。子どもたち垂ぜんのプログラムが並ぶのは、「レゴランド・ジャパン」(名古屋市港区)が企業内で始めた学童保育だ。学校の長期休暇に合わせて開き、子育て中の社員をサポートする。社員たちも知恵を出し合った。

 学童保育は、共働きやひとり親家庭の小学生を放課後に預かる。年々需要が高まる一方、待機児童の対策は、保育所より遅れているのが現状だ。

 親が特に頭を悩ませるのは、夏休みや年末年始、大型連休など。

 レゴランドは昨年5月、パートを含む社員約1500人のうち、フルタイム勤務に近い600人にアンケートを実施した。子育て中やその予定のある96人が回答。利用したいサービスや、会社に支援してほしいこととして多かったのが、「長期休暇中に預かってくれるところがほしい」「子連れ出勤させてほしい」だった。

 テーマパークは子どもの学校の休みがまさに繁忙期。会社としてもシフトに入る従業員を確保したい。ところが、「子どもの預け先がないから」と断る人がこれまでも少なくなかった。すぐに、社内で預かる方針が決まった。

 プロジェクトリーダーになった伊藤智子さんは、開設に向け愛知県の子育て支援員研修を受講。保育士の知人から話を聞き、県内のファミリーサポート事業の現場も視察した。

 どんな学童にするか、社員を集め構想を練った。「長椅子が欲しい」「壁は自由に絵が描けるようホワイトボードにして」「やっぱりレゴブロックで遊びたい」。社員のパパ・ママたちとブレーンストーミングを重ねると、アイディアが次々に浮かんだ。

 そして今春完成したのが、オフィスの一角にある約100平方メートルの学童ルーム。明るい室内のあちこちに、レゴブロックが置かれている。運営は外部に委託し、保育士など専門スタッフが常駐する。伊藤さんも見守る。

 預かるのは午前10時~午後6時で、定員15人。利用者は子供と共に出勤し、昼休みも一緒に過ごせる。

 長期休暇中の企業内学童は、大手企業を中心に広がりつつある。伊藤忠商事は昨年夏、社員と近隣の小学生を対象に5日間、開設し、注目を集めた。今年も開催する方向で検討している。

 レゴランドの特徴は利用を無料にした点。対象者が限られるため、福利厚生として公平性の面から議論もあった。伊藤さんたちは予算も考慮し、利用者の一部負担を提案した。しかし会社側は「私たちは子どものテーマパークを運営する会社だから」と無償を決めた。

 報道発表すると、SNS(ネット交流サービス)に「転職したいレベル」「こんな会社入りたい」などのコメントが投稿された。伊藤さんは「働きやすさで魅力を感じてくれる人がいるのはうれしい」と話す。

 3月のテスト実施では、「子どもがそばにいて安心して働ける」「子供が『ゲームをしないで過ごせた』『友達ができた』と喜んでいた」「『ここで働いていてくれてありがとう』と言われた」などと好評だった。

 大型連休に本格スタートし、夏休みは40日間開く予定だ。子どもたちを飽きさせないプログラム作りなど、取り組む課題は多い。通常の週末・祝日や、未就学児の保育のニーズもある。伊藤さんたちは今後、多様な社員の働き方にどこまで沿えるか、さらに検討を進めていく。【太田敦子】

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