広島県福山市柳津町3のメッキ工場に3月、猫が入り込み、六価クロムが入った薬品槽に転落した後、体に薬品が付いた状態で工場外に逃げ出す事案があった。六価クロムは有害なため、市が注意喚起と猫の目撃情報の提供を市民に呼びかけていたところ、4月30日、メッキ工場近隣の事業所から「猫の死骸がある」と連絡があり、市が検査したところ死骸から六価クロムを検出した。
市環境保全課によると、3月11日朝、出勤した工場の従業員が工場内に黄色や赤褐色の猫の足跡があるのを見つけた。防犯カメラで確認したところ、10日午後9時半ごろに工場の外に走って逃げる猫の姿が映っていた。
六価クロムはメッキに使う強酸性の薬品で、皮膚などに炎症を起こし、発がん性もある。六価クロムの液体が入った槽(深さ3・4メートル)はカバーがかけられていたが、猫が上に乗ったことでカバーが傾いて落ちたとみられる。
死骸が見つかったのは、メッキ工場から南東約260メートルにある事業所のプレハブ小屋のそば。死骸は3週間ほど前からあったとみられ、付着した成分の分析から転落した猫と判断した。
市民からの健康被害の届け出はないという。死骸は工場が処分する。【関東晋慈】