「来た来た、やばいぜ」――。北海道根室市郊外の林道で28日、山菜採りに来ていた軽トラックにヒグマが体当たりする様子が、ドライブレコーダーに記録されていた。道警は映像を公開し、注意を呼びかけている。
撮影されたのは28日午後1時ごろ。ギョウジャニンニクを採るため、男性2人が車で同市東梅の林道を走っていたところ、道路をはさんで左右に親子とみられるヒグマを確認し、スピードを落とした。
すると、右から母親とみられる体長1・2メートルほどのヒグマが車に突進して来た。運転手が車を停止させてバックしようとした瞬間、ヒグマはフロントガラス左側に頭から激突し、ワイパーが壊れた。運転手はクラクションを鳴らして振り払おうとしたが、ヒグマはさらに腕を振り上げて2度目の体当たり。フロントガラスに斜めにヒビが入った。
車はその場を離れて振り切ろうとしたが、ヒグマは執拗(しつよう)に追いかけて来た。ドライブレコーダーには「見た? 今の」「来た来た、やばいぜ、おい」など生々しい音声も録音されていた。
知床財団の山中正実・特別研究員は「車が親子の間に割り込む形になってしまった。親グマが子グマを完全に逃がす前に車が接近してきたので、攻撃しかないと判断したものとみられる」とコメントした。
根室署は「こういう時は決して車から出ないことを心がけて」と注意を呼びかける。【本間浩昭】