小林製薬(大阪市)の紅こうじを含むサプリメントを摂取後、急性腎不全を発症した臨床検査技師の男性(32)=神戸市=が取材に応じた。体調不良によって休職に追い込まれ、今も体調が戻らず、復職のめどが立っていないという。「小林製薬を信用していたのに、裏切られた思いだ」と苦しい胸の内を語った。
男性が小林製薬の「紅麹(こうじ)コレステヘルプ」を飲み始めたのは1月19日。健康診断で悪玉コレステロール値が少し高めだったためだ。毎朝欠かさず飲んでいたが、1カ月後に原因不明の体調不良が始まる。体がだるく、頻繁にトイレへ行きたくなるようになった。男性に持病はなく、勤務先の病院での仕事が忙しいことによるストレスと思っていたという。
事態が動いたのは、小林製薬が3月22日に自社サプリの健康被害を発表してからだ。男性が飲んでいたサプリは製造番号が一致していた。すぐに勤務先で診察を受けると、尿と血液の検査で異常が見つかった。別の病院に緊急入院し、急性腎不全と診断された。
一連の問題について日本腎臓学会がまとめた被害の中間報告(4日時点)では、学会に報告があった患者のほとんどが40代以上で、男性のような30代は極めてまれだ。男性の腎機能は回復しておらず、将来的に人工透析を受けることになったり、別の病気になったりしないか心配だ。サプリを飲んだことについて男性は「小林製薬を信用していたのに、裏切られた思いだ」と悔やむ。【西本紗保美】