日銀の植田和男総裁は18日、米首都ワシントンで閉幕した主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で、足元で進む円安について「基調的な物価に影響を与える可能性がある。無視できない大きさの影響が発生した場合は金融政策の変更もあり得る」と述べた。円安で輸入品の価格が上昇し、物価高が定着すれば、3月のマイナス金利解除に続き、一段の利上げも検討する姿勢を示した。
日銀は25、26日に開く金融政策決定会合で、日本経済の中長期の見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の最新版を公表する。会見で植田氏は輸入価格の上昇が物価に与える影響について、展望リポートで示すと説明した。
一方、鈴木俊一財務相はこの会見で、約34年ぶりとなる1ドル=154円台まで円安が進んだことについて「(日米の)金利差だけが今の水準を作っているわけではないと思う」と主張。市場参加者の思惑による投機的な動きなど、複数の要因が絡んでいるとの見方を示した。【ワシントン大久保渉】