
東京都文京区のホテル椿山荘東京で10日から繰り広げられた第82期名人戦七番勝負(毎日新聞社、朝日新聞社主催)の第1局は、初防衛を目指す藤井聡太名人(21)が11日、挑戦者・豊島将之九段(33)との大熱戦を制し、幸先良い白星スタートを決めた。終局後の藤井名人との主なやりとりは次の通り。【丸山進、新土居仁昌】
――振り駒で先手番になった。横歩取りの戦いになったが、想定はどうだったか。
藤井名人 序盤はあまり想定していない展開になって、一手一手難しいかなと思いながら指していました。
――豊島九段の2七角に長考して4八金とした。
◆3八銀と上がると、同じように進んで(こちらの)5三角成の時に5六歩と打たれてかなり怖い形になるので、それに備える意味で金を(4八に)上がったんですけど。3八銀と比べると、形としてはあまりよくないので、その後進んでみるとあまり思わしい感じじゃないのかなと思っていました。
――後手の主張だった馬を消したあたりは。
◆4八金と上がった時点では、本譜の進行だと1歩得が残るのでそれを主張できると思ったが、後手陣が4一玉と寄った形が非常に安定していて、対して先手陣はなかなかまとめ方が難しい感じがしていた。進んでみるとあんまり自信が持てない感じになってしまったんじゃないかなと思っていました。
――封じ手の局面は。
◆こちらが抑え込まれてしまう懸念がある局面になってしまったので、そうならないように頑張っていけるかというところかなと思っていました。
――豊島九段が9五角と打ち、6二角から4四角と展開したあたりは。
◆9五角からの筋はあまり見えていなくて、指されてみると4四角が非常にいい配置なのに対して、こちらは6七金からが思ったより進展性に欠ける形だったので、その辺りで苦しくしてしまっているのかなと感じました。
――と金攻めを受けて終盤も受ける展開に。終盤のポイントは。
◆終盤はこちらがどう粘るかだったと思います。5七玉と桂馬を取ったあたりで頑張れる形になったと思います。
――終盤、豊島九段に3九飛成と迫られて4六玉と逃げた。そのあたりは負けもあるかと思っていたか。
◆(4六玉の後)4八竜と金を取られた時に、こちらに手段があるかどうかと思っていた。ただ、詰めろをかける手は難しいので、ちょっとこちらが足りない形なのかなと対局中の感触としては思っていました。
――次の豊島九段の4四香に5七玉と桂を取って持ち直したか。
◆そうですね。こちらがすぐ寄ってしまう形ではなくなったのかなと思いました。
――勝ちになったのは。
◆3七桂と跳ねて駒を活用しながら攻めの形ができたので、そのあたりで初めてよくなったのかなと感じました。
――初防衛を目指す七番勝負で先勝スタート。
◆内容的には結構押されている時間が長い将棋だったので、まずはしっかり振り返って次局につなげられたらと思います。
――第1局全体を通して振り返ると。
◆一手一手非常に難しい将棋だったと思います。少し形勢判断の甘いところが出てしまったと感じました。
――第2局に向けて。
◆またしっかり集中して臨みたいと思います。