岸田文雄首相は「国賓待遇」で訪米した。ホワイトハウスでの歓迎式典や公式夕食会が予定され、厚遇を受ける。日本の対外的な元首とみなされる天皇陛下の国賓訪問と区別するため、国家元首の訪問に準じる国賓待遇と説明されている。
訪問するのが国家元首かどうかの違いだが、内容は大きくは変わらない。国家元首の場合、ホワイトハウスでの歓迎式典では21発の礼砲が鳴るが、岸田氏など首脳の場合は19発になっている。
日本の首相の国賓待遇での公式訪米は、2015年の安倍晋三首相(当時)以来。安倍氏の訪米の際も公式夕食会などで歓待を受けた。米政府は、岸田氏を安倍氏と同じ待遇で受け入れたいと伝えてきたという。
日本政府が外国の賓客を受け入れる際には、国王や大統領を「国賓」、皇太子や首相らを「公賓」と区分けしているが、「国賓待遇」というカテゴリーは存在しない。一方、米政府は岸田氏の訪米について「state visit」(国賓訪問)と「official visit」(公式訪問)という表現を混同させている。【大前仁】