早稲田大学大学院の教授だった文芸評論家の渡部直己氏から在学中にセクハラを受けたとして、元大学院生の女性(33)が渡部氏と早大に計660万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(増田稔裁判長)は22日、渡部氏と早大に計99万円の支払いを命じた。2023年4月の1審・東京地裁判決から賠償額を約40万円増額した。
1審判決が違法性を否定した、食べかけの食事を渡部氏が自分の箸で女性とシェアした行為について、2審判決は、立場の弱い女性が食事に乗り気でなかった心情に照らし、「セクハラ及びパワハラに当たる」と認定した。早大の責任については、1審同様に適切な学習環境を提供する義務を怠ったとした。
判決によると、原告の詩人、深沢レナさんは15年9月に渡部氏が教授だった現代文芸コースに合格。17年4月に渡部氏と2人での食事中に「卒業したら俺の女にしてやる」などと言われた。相談した別の教授からも「あなたに隙(すき)があった」と言われ、18年3月に自主退学した。
早大は18年7月、深沢さんからの申告に基づき、渡部氏のセクハラを認めて解任した。【斎藤文太郎】